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勉強会の様子
実際にスタッフ同士で行うことによって、手にかかる圧や手をどのように置かれると不快か否か分かり、とてもいい勉強会になりました。呼吸器疾患以外の患者様にも活用できる手技です。
研修内容
7月24日に呼吸リハビリの研修を行いました。呼吸器疾患の患者様から、手技に好評のあった理学療法士に講師になってもらい、実技を行いました。
胸郭の運動学
- 上部胸郭(第1~第6肋骨)→胸骨を中心に前上方へ拡張(ポンプの取っ手様)
- 下部胸郭(第7~第10肋骨)→外側に拡張(バケツの取っ手様)
- 視診:呼吸数・呼吸の深さ・呼吸パターン(優位パターン)・胸郭拡張性・筋活動etc…
吸気、呼気における胸部腹部の初動部位やおおきさ・拡張の程度・拡張の左右差・タイミングのずれ・全身の緊張具合・ラトリングの有無・表情・努力呼吸の有無・口腔内の観察
- 触診(胸郭可動性・柔軟性):上葉、中葉、下葉の安静呼吸での胸郭圧迫による可動性
- 上部、下部胸郭の他動的な可動性(手掌と手指DIP関節より近位で均一に圧迫)対象:リハ対象となる患者のほとんど禁忌:昇圧剤による循環動態不安定 胸部骨折 未処置の気胸 脳圧亢進重症脳疾患
- 喀痰には ①十分な吸気量 ②呼気流速
体位ドレナージ(体位排痰法)
- 肺尖区・前上葉区・前肺底区(S1.S3.S8)→背臥位
- 上・下葉区・後肺底区(S6.S10)→腹臥位、シムス位
- 外側肺底区(S9)→側臥位
- 後上葉区(S2.S6.S10)→前傾側臥位(45°)
- 中葉・舌区(S4.S5)→後傾側臥位(45°)
呼吸法
自動周期呼吸法(ACBT)*禁忌なし (早期から指導し、習得してもらうとよい)
呼吸コントロール→胸郭拡張練習→呼吸コントロール→ハフィング+呼吸コントロール
排痰手技(スクイージング)
咳嗽、ハフィング、咳嗽介助手技を組み合わせて行う
- タッチング:手掌と体表との間を密着させる 手指や腕に余計な力を入れない
- 圧のかけ方:均一で左右差の無い圧を加える(患者が呼吸を楽と感じれる程度の圧)→あまり弱すぎると効果が無い、ある程度強い圧が必要との文献もある、吸気への切り替わりで圧を抜く(肺の弾性を妨げない、手は完全には離さない)、肺の収縮に合わせる(速すぎず遅すぎず、胸郭の動く方向に圧を加える)
- 上葉に対するスクイージング(背臥位)第4肋骨よりも上部の上葉に両手を当て、臍に向かった斜め下方向に圧を加える
- 中葉、舌区に対するスクイージング(後傾側臥位)前胸部の手は第4肋骨と第6肋骨に挟まれた部位、背側の手は肩甲骨下角に当てる、前後から手掌全体で、脇を締めるように圧を加える
- 下葉に対するスクイージング(側臥位)腋窩から下の下部胸郭を包み込むように第8肋骨より上部に当てる、手が胸郭上を滑らないように注意しながら、骨盤の方向に引くように圧を加える
- 後肺底区に対するスクイージング(前傾側臥位)背側の手は第10肋骨の上部、側胸部の手は第8肋骨より上部に手を当てる、胸郭の運動学(バケツの取っ手様)を意識しながら、両側の手で絞り込むように圧を加える
- 両側の後肺底区に対するスクイージング(腹臥位、シムス位)両側の第10肋骨上部に背面を覆うように手を当て、ASISの方向(斜め下)に圧を加える、中枢気道まで移動させた痰を、咳やハフィングでカク出させることで完了となる
- ハフィング:大きく息を吸い、声門を開いて一気に「ハァー」と絞り出すようにはかせる